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人身雪害のリスクと対策

平成18年豪雪では、全国で152名もの方が雪に関わる事故の犠牲になりました。
豪雪年に限らず、毎冬に雪国では除雪作業中に事故が起きていて、その危険性の度合(リスク)が他の災害や一般労働災害よりも相当に高いことがわかってきました。
リスクを定量的に評価し、その意味を分析することで、適切な対策につなげています。

人的被害をもたらす雪害を人身雪害と呼んでいます。除雪作業中の高所から転落、落下してきた雪に埋没、除雪機械に巻き込まれる、雪崩、転倒・滑落などがあります。除雪作業中の発病も雪害事故に含まれます。

これまでの研究の概要

  • 人的被害をもたらす雪に関わる事故や災害を人身雪害と呼んでいます。
  • 戦後では、1963(S38)年の豪雪、いわゆる三八豪雪が、231名もの死者・行方不明者があり第1位の雪害でした。第2位は、1981(S56)年、いわゆる五六豪雪の152名で、同数で2006(H18)年の平成18年豪雪が並びます。
  • これは気象庁から命名されるような豪雪年に限ったことではなく、毎年のように各地で発生しており、1987年から2018年の32年間で1375人もの方が亡くなっています。
  • 死亡・重傷事故の内訳をみると、じつに4分の3が、高い所からの転落事故です。雪下ろし作業するために屋根に上がって転落してしまう事故が多いということを示しています。
  • どの程度危ないのかの指標であるリスクの分析をしたところ、一般労働災害の20~40倍にも達することがわかり、早急な対策が必要であることが示されました。
  • 最近の研究で、高所からの転落事故のおよそ半数が、ハシゴに関わる事故であることもわかってきました。
  • これらの研究結果を踏まえて、屋根雪下ろし作業における安全確保の方法を検討し、屋根雪下ろしに特化した安全帯倒れにくいハシゴなど、装備や器具の開発にも取り組んでいます。
  • 装備や器具以前に「命綱を結ぶ場所」は必須です。そのための金具をアンカーと言いますが、ほとんどの住宅には備わっていません。建築業界や自治体と連携して普及活動に取り組んでいます。
    新潟県WebSite

現在取り組んでいる研究の概要

  • ハシゴの実地試験の際、ほとんどのユーザーが正しい使い方を知らないことがわかりました。75°と決められている正しい立てかけ角度に設置させるためのIoTデバイスの開発に取り組んでいます。
    その他にも、IoT技術を応用して、ユーザーが特に意識をしなくても自然に安全な行動をとるようなデバイスを開発していきたいと考えています。

この研究課題に関連する論文など

著者 論文名 雑誌・巻号・ページ 発行年
杉原 幸信,上村靖司 屋根雪下ろしに用いる雪中埋設型命綱固定アンカーの引張試験 日本雪工学会論文集,Vol.38 No.2, 41-46.
DOI
2022
上村靖司,増田宗一郎,杉木道明 除雪作業中のハシゴ事故の発生状況分析と安全ハシゴの開発
※グッドデザイン賞受賞(2018)
日本雪工学会論文集,Vol.35 No.3, 1-10.
DOI
2019
上村靖司,高田和貴,関健太 県別・市町村別の人身雪害リスクの比較
※日本自然災害学会・学術賞(2017)
自然災害科学, 34(3), 213-223.
JSNDS WebSite
2015
上村靖司 新潟県における人身雪害のリスク分析 雪氷, 65-2, 135-144.
DOI
2003

問い合わせ先
雪氷工学工学研究室
〒940-2188 新潟県長岡市上富岡町1603−1
長岡技術科学大学
電話:0258−46−6000(代表)
mail : kami @ nagaokaut.ac.jp※不要なスペースを削除してください。

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