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Column アンカー問題(その4)

雪下ろししなくちゃ、でもアンカーついてない・・・
アンカー無しの命綱は、差込口の無いシートベルト。
いよいよ雪下ろししなくちゃ、となっても、それからアンカーをつけましょうというわけにはいかないのです。さあ、どうする。。。

アンカーが無い時の対処法
常設のアンカーが無いならば、仮設のアンカーを設置するしかありません。その2で紹介した、立ち木や柱を使う方式も、仮設と言えば仮設かもしれませんが、もう少しスマートにできないかしら。

仮設の主綱設置
地上から太い綱を屋根の妻側から反対の妻側にわたすやり方。中央部のたるみ防止のため主綱中央で棟方向にも垂直に綱を張っています。特徴は妻側に取り付けた金具です。これがあれば荷重がかかってもずれません。

錘(おもり)アンカー
人の体重を支えるだけの錘を作業する反対側の地上に設置するやり方。写真では、18リットルタンクを4つ使って72㎏分の錘にしています。タンクを運ぶのはちょっと大変ですね。

雪中埋設アンカー
踏み固めた雪の中に、ある程度大きさのある物体を埋め込んで、雪そのものをアンカーにする方法。雪を詰めた土嚢袋、ロープをつけた板、杭など、身近なものでアンカーになります。安全性は埋設した人のスキルに依存します。

仮設の主綱は、屋根にアンカーを取り付けるよりは安い金具のみでできます。太い長い主綱が必要なことと、そもそも設置に技能と経験がいりますから、プロが請け負って民家の除雪をするイメージでしょう。
錘アンカーは、ポリタンクなどホームセンターで容易に入手できる資材でできますし、分かりやすいですよね。ただ、雪の中、体重分の錘を持って歩いて、反対側までロープを張るまでが大変そうです。
雪中埋設アンカーは、工事現場にある杭とか、薪などの木の棒とか、あるいはスコップとか、頑丈な棒状のものがあれば、すぐできます。簡単さという点では抜群です。ただし、雪をしっかりと踏み固めたり、荷重に耐えるように杭を埋めるのにコツが必要で、作業者のスキルに依存します。
 ただ、冬山登山ではよく知られたスキルなので、YouTubeで探すと こんな動画も見つかります。ちなみに映画「アナと雪の女王」でもロープを使った雪アンカーの場面もありますね。

アルミフレームで作ったアンカー
私たちの研究室で試作した、アルミフレーム製のアンカーを紹介します。
ただしこれは安全を保証するものではありません。あくまで他に方法が無い場合に自己責任において使うものです。
工具や資材などの通販大手のMISUMIで調達できる部品のみです。部品代は一基約4千円です。これを雪に埋めて使います。しっかりと周囲の雪が踏み固めてあれば、1トン近い荷重を支えることができます。
組立て方と使い方はこちらをご覧ください。
組立手順書と取扱説明書
そもそも・・・
アンカーがどれだけ頑丈か、という以前に、墜落したり宙吊りになったりしないように、ロープの長さをしっかりと調整することが大前提です。ロープをつないで動ける範囲内が屋根の内側でなくてはならないのです。

おわりに
なかなか減らない除雪中の転落事故を減らすために、何が問題なのか、特にアンカーについて思うところを書きました。
 残念ながら、雪国の大多数の家には、アンカーは付いていません(ほぼゼロです)。そんな状況で「命綱をつけてください」といくら言っても、使っていないことを後ろめたく思わせてしまうだけで、実際には何の効果もありません。むしろ反発されたり、反感を買ったりします。
 そんなことよりは、アンカーがどの家でも当たり前に付いているようになってほしいです。本当にお願いします。千葉でも台風被害のあと、応急対策としてブルーシートを張る作業中に100名もの方々が転落したそうです。雪国に限らず、家に当たり前にアンカーがついていたら、と心から思います。
 どうしても、アンカーが無くて危ない、という場合の仮設アンカーの方法も提案しました。あくまで自己責任です。そこはご容赦願います。作業者のスキルに依存しますから、ぜひ雪かき道場に参加して頂いて、スキルを磨いて頂ければと思います。

このサイトは、長岡技術科学大学雪氷工学研究室のサイトです。